イス(2)

素人にも簡単に作れて構造もしっかりしており、おまけにデザインも優れているという実用的なイスを考えていたが、家具蔵(http://www.kagura.co.jp/)のカタログのなかに参考になるものがあった。

家具蔵のイスは、デザインもさることながら座り心地が素晴らしい。座面が堅い板のイスでもピッタリとフィットするので長時間座っていても疲れない。実際に展示場に行って座ってみたが座面にクッションを張っているものより座り心地が良い。

下の写真のように4本の足を肘当て、座板と背板でキューブを形成し構造的に強度を確保している。座面もほぼ四角で側面の貫のホゾ加工も傾斜が無く簡単だ。



イスとして見栄え良くするためには曲線を使うことだが素人にとっては難しい加工となる。だが、このイスのデザインでは僅かな曲線を利用することで見栄えも良く加工も簡単そうだ。このデザインを参考にしてイスを制作してみることにする。


設計

下の図がだいたいの設計図だ。接合部は図の@〜Bである。複雑な接合箇所は@で非常に難しい。








下の図は@の部分の接合である。笠木と肘掛けはダボで接続する。






下の図はAの前足と側面の貫と肘掛けの接合部分だ。@と同様に前後に掛かる力に対して十分な強度が確保出来るような組み手をする。肘掛けはダボ組を使用して貫に固定する。







下の図はBの後ろ足の部分である。後ろ足と側面の接合はホゾ組だがイスは前後に力が掛かるので丈夫に作る必要がある。したがって、ホゾは後ろ足を貫通させ出来るだけ長いホゾ組で前後に掛かる力に対して強度を持たせることにする。

また、前後の貫は貫通した側面の貫を貫くダボ組とすることで強度を確保することとする。




背の部分と後ろ足の接続は強度とデザインを考える必要があるため、材料が切り出された時点でもう少し考えることにする。

接続の構造が概ね決まったので材料の切り出しにかかる。



材料の切り出し

今回も加工のしやすいパイン材を用いる。製材所から購入した材を適当な長さに切断し、自動かんな盤、手かんな、かんな盤を使って大まかに切り出す。

この時、注意することは各材の直角と平面がきちんとでていることが大事だ。(方法については「作品の紹介」の「2×材から家具用の精度良い基本加工をする手順」参照)これが出来ていないと今後の加工に影響を及ぼす。

まず、平面を1面だけきちんと出すことだ。材料の平面が比較的綺麗に出ている場合は、いきなり自動かんな盤にかけて基準面を削り出すが、一番良いのは平面がきちんと出ている厚め(24mm)のランバーコア材を張り付けて削るときちんとした平面が削り出せる。

気長にゆっくりと、途中でコーヒーを飲みながら基本加工することがアマチュア的である。

下の写真は材を大まかに切り出したところだ。(2脚分)この行程はやたらに切りくずがでてくる。特にかんながけにより発生する切りくずは非常に多い。市販の生ゴミ袋で2個分が発生した。切りくずを何か有効に利用できないものか・・・




下の写真は肘掛けの部材を切り出すために上記の大まかな切り出し材料を、バンドソーを用いて引き割りしているところだ。

レクソンのバンドソーはフェンスが付いていて一定の厚みで材料を引き割れるようになっているが、固定が片方しかないため、材料を送っている途中でずれてくる。このため写真のように固定されていない反対側の端をクランプで固定して作業すると精度良い引き割が出来る。

また、材の送りを速くすると木目に沿って刃が流れてしまって切り幅がずれてくるので精度良い引き割は出来ない。材の送りは出来るだけ遅くし、一度送り出してゆるめるといった慎重な送りが精度良い引き割をするコツだ。

いずれにしても最終的に自動かんな盤を用いて厚みをそろえる行程は必要である。




下の写真は引き割が終了した材である。左側の引き割は材の送りをゆっくりしたもの、右側は速くしたもの。右側は手前の厚みが左右異なっている。材の送りが速すぎたため木目に沿って刃が流れてしまった結果だ。これだけ流れてしまうと自動かんな盤での修正が難しくなる。

材を速く送る場合に、バンドソーにも負担がかかっている。材を速く送ることは、刃の前後のぶれを防止するためのベアリングに刃を押しつけることになるので刃の摩耗を早める。極端な場合、ベアリングと刃が摩擦し火花が飛ぶことだって有る。

いずれにしても、バンドソーでの引き割は焦ってはだめだ。




下の写真は、大まかな切り出しを行い、それらを最終的に丸鋸盤で整形した材である。丸鋸盤、自動かんな盤による微調整でも切りくずはヤマのように出てくる。今回、右側のゴミ袋2個分の切りくずが出てきた。




下の写真のようにクギを3カ所仮に打っておく。




スチール製の定規を用意し仮止めのクギに合わせて固定する。




中心のクギと両側のクギは定規の間張る方向に交互に配置する。下の写真のようにスチール製の定規が左右対称に湾曲して綺麗なカーブが描ける。




後は鉛筆で卦書くと綺麗な曲線を引くことが出来る。




後はバンドソーで卦書き線に沿って丁寧に切断していけばよい。バンドソーで使用している刃は曲線切り用の幅の狭い刃である。




バンドソーで切断した後は、カンナやヤスリを用いて曲線を自然なカーブにする地道な作業が待っている。





つづく


isu(2)9

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