第2種電気工事士試験受験奮戦記


平成20年度のチャレンジ

電気工事をする際、資格が必要なのは周知のことである。電気配線工事の質が悪ければ漏電を起こし火災の危険がある。電気配線は身近ではあるが、実は危険と隣り合わせなのである。(大げさ?!)

でもテーブルタップにタコ足配線をして、その部分が熱を持っていることに気が付いたことがある人は少なくないと思う。

現在の職業にも必要であるということもあり電気工事士の試験を受けることにした。この試験は筆記試験と実技試験があり高校卒業程度のレベルが要求される。特に、実技試験は、実際の工事を試験し正確さとスピードの両方が要求される。受験者の大多数を占める若い人たちにとってはそんなに難しくないのだろうが、年季の入った私のようなものにとっては結構難しい試験なのである。ちなみに合格率は30%くらいだ。

筆記試験については、錆付いた頭に油を差して何とかクリアできそうな感じであった。実際、過去の問題を解いていると相場観がつかめ、とりあえず合格した。

問題は実技試験である。与えられた課題の配線図を描き、与えられた材料で実際に配線を行う。当然だが、制限時間付きだ。この制限時間がくせ者で私にとっては結構短いのだ。

過去の実技試験問題を見てみると最初は何とか出来そうな気がした。ところが、職場の若者に聞いてみると、「工業高校では資格試験前に毎日練習する」のだそうだ。毎日である。

材料を買ってきて過去に出題された問題を2〜3実際にやってみた。とてもではないが時間内に終わらない。おまけにどうやって良いか分からない部分が多い。

例えばビニル電線のビニルの剥き方は、剥ぎ取る長さは?ネジで固定する際、単線を輪にするがペンチ1本でどうやるのか。線と線の接続はどうするのか、等々。

これは相当厳しいと改めて実感した。試験をクリアするためには、それこそ毎日練習が必要だ。とばかりに材料を大量に買い込んできて、キッチンタイマーをセットし練習の開始だ。下の写真は練習中の机の上だ。配線の切りくずや道具が散乱している。

それでも2週間ほど練習していると要領がつかめてきて、制限時間内に何とか作業が終了するようになってきた。それでも試験前日までの仕上がりは70%くらいか。

試験当日は98%高校生の中に紛れて試験を受ける。周りは殆ど高校生である。私の子供と同じくらいで女の子もいる。私の横に座った子は女子高校生だった。堀北真希似のかわいい子(そんなことどうでもいいが・・・)だったが、材料が配られているときでも緊張している様子は全く無く平然と落ち着いている。

試験が始まると、猛然と課題に取り組み、ものすごいスピードで仕上げていく(音が聞こえてくる)。自分の課題を仕上げるのに必死なので横の様子をうかがう余裕などもちろん無い。制限時間の半分くらいで隣は終了した様子。まさに「あせるぜ〜!」

途中で圧着接続箇所を間違えたので修正に時間がかかった。それが焦りを倍増させる。それでも制限時間前に何とか終了し配線に間違いがないかチェックする時間が少しあった。

余裕を持って(?)切りくずなどを片づけて終了の合図が聞こえる。ところが「埋め込み型スイッチの固定が不十分ではないか」と気が付いたが後の祭り。無情にも試験管の声が響く。「合図の後に課題に触れると失格になります」

「俺としたことが・・・」、注意すらしていないところでこんなミスをするとは・・・

合否判定は9月だが、またまた心配事が増えた。果たして合格しているやら。当たり前だが「油断大敵」を実感した緊張の一日だった。

結果は「不合格」だった。練習不足がたたった。課題の13問を全て練習していないのだから当たり前か。来年度、実技試験が免除になるので再挑戦することにする。



平成21年度の再チャレンジ

昨年の雪辱を果たすべく、十分に余裕を持って実技試験の準備を始める。少なくとも課題は全て2〜3回練習しておくことを目標とする。

昨年は2週間の実技試験の模擬練習(といっても実質は3〜4日程度しか練習してない)の甲斐なく不合格であった。完成間近に結線の間違いが分かり、かなり焦って修正した。慌てていたので回路を間違っている可能性は大である。また、埋込連用タンブラスイッチと埋込連用取付枠の固定がうまくいっていなかった。

いずれにしても不合格であったので、今回、再度挑戦することにする。筆記試験が免除になるのは1回きりなので、気合いを入れて臨むことにする。

 

練習の肝

しつこく練習したので昨年と違ってだんだんとコツがつかめてきた。下の写真は練習環境である。また、経験者にアドバイスをもらうことにした。独断と偏見で間違った工事をしている可能性があるからだ。




課題材料のうち消耗品であるケーブル類を切り出すための材料。メーターあたりの単価はバカにならない。




スイッチ類は消耗品ではないが、線を付けたり外したりすると破損する。破損した物は購入しなければならない。リングスリーブは消耗品なので100個入りを購入したが足りなくなった。


消費したケーブル類の量が膨大になった。





ランプレセプタクル
ランプレセプタクルの結線課題は必ずと言っていいほど出題される。輪を旨く作るのがポイントだ。ホーザンの工具だけを使うと輪の先端が旨く丸まらない。ペンチで輪を作る方法が紹介されているが、丸めるところだけをホーザンの工具を使うと旨くいく。

銅線を一気に丸めるのではなく、2度に分けて丸めると旨くいく。すなわち、先端をホーザンの工具で挟み一度途中まで丸め、先端から少し根本側を挟みなおして丸めると旨くいく。

下の図のように、ペンチで曲げてカットする。次に@の部分を挟んでホーザンの工具で途中まで丸める。最後にAの部分を挟みなおして先端を根本に付くまで丸める。ホーザンの工具先端部分の形状はランプレセプタクルのネジの経を考慮して作られているのでちょうど良い直径で丸められる。

ネジより細く丸めると最悪でネジが入らないので焦りを生じ後行程に影響する。無理に通そうとして何度かチャレンジし、結局ネジを通すためにさらに輪を調整するので時間ロスは尋常ではない。一発で決めるためには、このように2度に分けて丸めるとともにネジの太さを感覚としてつかんでおく必要がある。

3回路スイッチ
3回路スイッチがある場合、4回路スイッチと組み合わせる場合、配線の色を合わせるようにする。具体的には、2つの3回路スイッチの0番は必ず黒、3番、1番に接続する配線の色は合わせる。4回路スイッチが入った場合も同じく配線の色あわせをしておくと配線間違いが少なくなる。


線の切断
3心と2心の使い分けをあらかじめ理解しておき、切断寸法が同じ物は同時に作成する。例えば、4回路スイッチに接続する場合の2心線を2本、3回路スイッチは3心を使い必ず2個のスイッチが必要なので3心が2本必要になる。これらの線の寸法や被覆の剥き方は全く同じなので、同時に準備することが効率的である。

露出型コンセント
露出型コンセントは被覆をどれくらい残すかが難しい。ネジ部までの距離が短いからである。露出型コンセントに実際に線を当て被覆を剥ぐ長さの目安を付けておくと良い。

リングスリーブ
リングスリーブの印は要注意である。特に3本の配線をまとめるとき、リングスリーブが小さいので3本をまとめるときに線が旨くスリーブに入らない。十分練習しておく必要がある。
リングスリーブで接続する際は、試験の終盤なので焦るが、落ち着いて接続がよいかどうか2度確認する。時間ロスが有るようだが間違えたときの修正作業を考えると「急がば回れ」である。確実に確認すること。

配線のくず処理
配線のくずは都度廃棄する。試験会場の机は結構狭い。机を作業工程の都度整理しておくと作業がしやすい。

持ち込む工具類

個人個人で持ち込む工具は異なるが私は下の写真に示す工具を試験会場に持ち込んだ。誰でも使用するものの説明は省略する。私独自で持っていった方が良いものを以下に説明する。

@電工手袋
最初は素手で練習をしていた。手袋をしていると手の感覚が良くなく作業がスムーズに行かない。だが練習中に怪我をした。電工ナイフの取り扱い、配線の端末処理等結構怪我をする可能性がある。
AnnsellのHyFlexという製品は、教えてもらったのだが、素手感覚に近く使いやすかった。少し小さめのサイズを選ぶとフィット感がとても良い。お勧めだ。

Bマイナスドライバ(修正用)
引っ掛けシーリングやタンプラスイッチなど線を差し込むタイプの器具の配線間違いを修正するときに、配線を抜き取るためのドライバ。Aのマイナスドライバで基本的には良いが、器具によっては合わないときがある。Aのマイナスドライバより小さいものを念のため用意しておく。

Cラジオペンチ(先端が曲がったもの、修正用)
埋込連用取付枠から器具を外すときに使用する。マイナスドライバでも外れるが、こちらの方が遙かに使い勝手がよい。

Eホーザンの工具(試験のための工具だが便利、少々値段が高いのがタマに傷)

I電工ナイフ(抜き差し型)
折り畳み式の電工ナイフが一般的だが、折り畳みが面倒。折り畳みの際、気を許すと怪我をすることがある。私が選んだものは抜き差しするタイプだ。これなら簡単に怪我することなく取り出すことが出来る。簡単に抜けないようにストッパも付いているので安心だ。

J筆記用具
電子読みとりのカードに書き込みが必要なのでシャープペンシルと消しゴムは必須。回路図を書くときに、黒で回路図を、線の色や注意点を書くための赤を、と2色持っていくと間違いが少なくなる。




配線を間違えるとかなり焦るので、上記のように修正をスムーズに進めるための工具も持っていった方が良い。

しつこいようだが、手袋の採否については賛否両論だと思うが、私は手袋の着用を勧める。

練習中に3回怪我をした。1つは電工ナイフで指を切った。1つは差込プラグに配線を差し込むときに他の配線の先端で指を切った。1つはリングスリーブを締め付けるときに他の線の先端で手のひらを切った。1.6mmの電線はそうでもないが、2.0mmの電線は丈夫で手に引っかかると怪我をする可能性が高い。

もっとも、器用な人で自信のある人はこの限りではない。お手本となるDVDに出てくる先生は皆素手である。ベテランになれば素手の方が良いだろう。(DVDをよく観察してみると、ベテラン先生の手にも傷跡がある。先生も苦労してるんだな、とほほえましい。)



平成21年6月6日に、筆記免除者向けに行われた実技試験問題は、No.12であった。配線の接続は全てリングスリーブによるもので、リングスリーブの中が2本使用された。問題としては、わたり線加工、ネジ無し電線管加工、ボンド線、メタルラス盤用防護管加工、可とう電線管等やっかいな加工が無い素直な問題だった。

ちなみに、出題される問題の傾向を見てみると、配線の色に幾つかの選択肢があるもの(色の選択がどちらでも良いもの)は、採点する方が大変なので出題されにくいのではないかと思った次第である。

いずれにしても、課題をまんべんなくやることが大事で、くれぐれも学生時代によくやった山掛け練習は避けた方がよいのは言うまでもない。(ちなみに私の山は、No.5の配線とわたり線がややこしい奴だったが大外れであった。)

合否結果発表は7月3日である。「吉報(?)は寝て待て」である。おとなしくしていよう。数十年ぶりに受験生の気分を味わった緊張の一日だった。

11日に合格通知が届いた。2回目の受験で1次免除は今回が最後のチャンスなので、今年通らなければ諦めようと思っていた。

今回の受験で一番良かったことは職場の若い人たちと一緒に練習したことだ。既に資格を持っている人がいたので、いろいろと教わった。今まで知らないことが多々あり、1回目の受験が如何に甘く無謀だったかがを思い知った。

現場作業は、傍目で見ている分には簡単画だが実際にやってみるといろいろノウハウがある。むしろ技量のある人は簡単にやってのけているのである。

そう思って周りを見回してみると、プロのスポーツ選手のフォームは美しい。むしろ芸術に近い。それは無駄を排除し全ての動作を研ぎ澄ましシンプルにしているからなのだ。

資格が取得できたのは良かったが、実技を勉強する上で若い人たちとのコミュニケーションがはかられたこと、手に技量を付けることの難しさを知ったことなど、手前味噌ではあるが良い経験をしたと思っている。





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