キュリオ・ケース


かみさんのリクエストで製作することになった。

高級な材料は用いずに出来るだけ誰でも手に入りやすいツー・バイ材を用いることにした。今回用いた材料は2×4である。


荒木取り

私がいつも購入する2×4材は、3mのものだ。細切れにして売っているものもあるが長い材料の方が買い得感がある。当然だが出来るだけ曲がっていなくて節が少ないものが良い。




馬を下の写真のように組み合わせて切断すると長ものでも切断しやすい。3mだと扱いにくいので仕上がり寸法を考慮して適当に切り出す。3mだとハンドリングしにくい。




下の写真のように2×4材の1つの面をマルノコ盤でベイピングする。2×4材は曲がっていたり製材精度がいまいちなのでマルノコ盤を使って1面を正確に切り出す。




下の写真のようにベイピングした面(鉛筆で指し示している面)を基準にフェンスに当てて材料を切り出す。




マルノコ盤で切り出した後、自動カンナ盤で荒々にカンナをかける。




こうやって切り出した材料を以下の写真に示す。





下の図はキュリオケースの断面である。4面をガラスにする。図下部はドアとして開け閉めが出来るようにする。寸法が見難いが345mm□である。キュリオケースとしてはかなり小さくシンプル。市販されているものは大きくてかなりゴージャス。

太い線はガラスを示す。真ん中の四角いガラスは棚板で5mm厚のものを使用。4面を構成するガラスは2mm厚。最初はもうチョット厚い方が良いのではと思ったが、ガラス屋の主人のアドバイスで2mm厚で十分とのこと。コスト面もあるので採用する。(ガラスって結構高価なのです!)

支柱は35mm□。

ガラスは割れる可能性があるので取り替えられるように枠を外せるようにしておく必要がある。






4本の支柱を35mm□に加工しガラスの入る溝を製作。(以下の写真)このように材に切れ目を入れるときや切り欠くときに便利で正確な切削が出来る刃高ゲージはお勧めである。




下の写真は支柱とガラス板の収まり具合を見ているところである。丸印の部分が切り込みにガラス板が納まっている様子である。










下の写真は棚板の収まり具合を見ているところである。





キュリオ・ケースの上下の枠を作る。枠は支柱と同じようにガラスをはめ込むための溝を付けるとともに、強度を考え額と同じように45度の切断面をカンザシで止める。

まず、材を取り扱いやすいように適当に切断する。






例によって45度に切断するジグを使う。詳しくはここを参照







45度に切断するときは順番が重要である。間違えないように実際に組み立てるように並べておく。






順番に回すように切断していく。







カンザシで接続するのでジグを用いてカンザシ用の溝をテーブルソーで入れる。






カンザシを入れて組み立ててみた。ガラス板がはまる溝にズレ発見。






おまけに直角がズレている。額作成用のジグを使って45度切断を行ったのに何故だろう。片方の枠だけ直角がズレている。






もう片方は許容範囲だが・・・
接合面にも隙間が・・・





作り直すのは大変なので、修正でごまかすことにした。

直角が撮れていないことに対しては以下のようにマルノコ盤とスライドテーブルを使って修正する。

まず、基準面を決めてマルノコ盤で修正する。




次に、スライドテーブルを使って基準面に直角の面を修正する。スライドテーブルの直角が正確に出ていることが重要なことは言わずもがな。




素人の極意、パテを多用して失敗した部分の見かけを取り繕う。





キュリオ・ケースの上下に板を挿入するための切り欠きをトリマで付けているところ。クランプで固定してトリマを使う。トリマやルーターを使うときは危険回避のために何よりも安定性が重要。




ノミで左側のベニヤを張るための溝を整形する。その後ベニヤを木工ボンドで接着する。




クランプで押さえまくって接着完了まで固定。(あらかじめフレームに切れ込みを入れて、そこにベニヤを挿入すればもっと見栄えが良くなっただろうと反省)




これが表になる。はみ出た木工ボンドを濡れた布で拭き取る。




下の写真は棚板を固定するためのダボ穴を、一定間隔に開けるためのジグである。右のダボはダボ穴を貫通させることで、ダボの挿入長さの違いを調整できるようにする。




フレームに一定間隔でダボ穴を開けているところ。C型クランプでシッカリ固定する方が作業が安定する。






いよいよ組み立てに入る。上部と下部の蓋部分と支柱の接続はダボ接続とする。写真のようにダボ穴を綺麗に開けるために捨て板を当てて穴を開ける。




ダボ継ぎのセンターを正確に出すためのジグ。一発で決まらないので実際に材を当ててみて最終確認をする必要がある。




センタージグで捨て板に印を付けたら丁寧に穴を開ける。今回使用したダボは10mm。




それぞれのパーツにヤスリをかけてから組み立てに入る。ガラスを後から入れるので頭の部分だけ木工ボンドで接着し下の部分は仮止めしておく。




頭の部分の拡大写真。




下の部分の拡大写真。




狭い工房で制作中のものを取り回していると、いろいろなところにぶつけたり、組み立てに際して余計なところをたたいたりして出来た大きめの傷は、下の写真にあるように水に濡れた雑巾で傷の部分をぬらしてやると元に戻る。木は常に湿度で収縮しているという証拠だ。




小さな鋭い傷はパテを使って修正する。




大きめの鋭い傷は2液混合タイプのパテを使う。2液混合タイプのパテは均一に混ぜるのが難しい。付属のヘラで混ぜようとしてもなかなか綺麗に混ざらない。私はサランラップを使っている。サランラップの中に2液を入れ、写真のように包んで指でもむようにして混ぜる。5分くらいコネコネしていると綺麗に均一に混ざり合う。指も汚れないので一石二鳥である。





枠を先に塗装してからガラスを入れて組み立てようと思ったが、全体の修正もしなければならないので、先にガラスを入れて組み立ててから塗装することにする。枠はダボ接続を使う。





カンナで修正する。





家の外壁塗装をするとき窓にペンキが付くのを防ぐために養生するマスカーというものを使用する。マスカーは片側に粘着テープ(ガムテープ)が付いており粘着面より内側には塗料が染み込まない。





マスカーを貼っているところ。





養生終了。裏表とも同じように養生する。





ヒンジを合わせてみる。





塗装してからガラスを入れようと思って、上だけ木工ボンドで接着しないで組み立てたが、ガラスがはまらなくなった。製作精度の問題だと思うがやり直すしかない。

そこで、ガラスを入れて組み立てた後、塗装することにした。塗装中はマスカーを用いてガラスを養生しておく事にする。

接続はダボ接続を考えたが、旨く合わないので両クギを使うことにした。(下の写真参照)







ガラスをはめ込んで組み立て完了。





接着が出来たので、ガラスの養生をした。下の写真は、ガラス全面をマスカーで覆ったところ。この後、カンナ、ノミで各接続部分を調整し、全体にサンダーをかけて塗装に入る。

2バイ材から加工しているので、無垢の材に比べて節が欠けていたりで見てくれは悪いが、高級な材料を用いずに誰でも入手しやすい2バイ材を利用するのが目的なので、「ま、い〜か」の世界である。

かなり長い間シーズニングしたおかげ(作り始めて半年以上かかっている、意図的にシーズニングしたわけではないが、結果として十分なシーズニングが出来た、これもアマチュアならではだ)で材料の狂いは最小限に押さえられている。特に長手方向の材料はかなり曲がると思っていたが、それほど曲がっていなかった。よかった〜!





キュリオケースの足を作る。足は見栄え良くテーパーをつける。下の写真はテーパーをつけるためのジグだ。テーパーに合わせて斜めに切断した板を両面テープでスライドテーブルに貼り付け固定する。





足用に切断した角材をセットして斜めに切断する。





切断し終わった足。少しテーパーがついているのが分かるだろう。テーパーは2面だけつけた。





扉の下端の部分を電気かんなで調整。





足をケースに固定する。固定には両クギを2本使った。





残りの2本の足をつけて完成である。





塗装完了。マホガニー調の着色。





節が目立つが・・・一日中雨で塗装には最悪のコンディションだった。





しtなお下の写真は蝶番部分の切り欠きの様子。ノミで作業する。





下の写真は完成したところである。今回の痛恨の失敗は、フロントのガラスにひびを入れてしまったことだ。最初は取っ手を付けずにシンプルにする予定だったが、ちょうど良いツマミがあったので取り付けた。取り付けネジがガラスの端を僅かにかすった。そのとき、ガラスにひびを入れた。

修正しまくりにしては見栄えが良いなと思っていた矢先、最後の最後で失敗してしまった。残念!

手前味噌だが、見栄えが良いので思わず写真を撮りまくってしまった。





















今回は、誰にでも手に入る2バイ材を用いて製作した。4面をガラスにしたが市販のキュリオケースは背面が板になっていたり、鏡になっていたりである。市販されていないデザインなので何となくオリジナリティがあって良いと自己満足しているところである。

完成までに半年以上の時間を費やしたが、反省点がいろいろある。以下に反省点をまとめてみる。

・材料の選定
2バイ材は誰にでも手に入る代わりに節が有ったり曲がっていたりで仕上がりは決して良くない。無垢の材料を使えれば良いものが出来るだろう。上の写真右側のビューローは無垢の桜である。同じ節でも重厚な感じがする。塗装でマホガニーの色を真似たが出来映えの違いは一目瞭然である。

・ガラススリットの先端部処理
ガラスを差し込むスリットは構造材の先端まで切断したため、切り欠きが表面に現れる。今回はパテで修正したが本来は彫り込む必要がある。どのようにして彫り込むか今後の課題だ。

・45度接続の精度向上
ジグを工夫して正確に45度を切断したつもりだが、精度がいまいちだった。セッティングの問題だと思うので腕を鍛えるしかないかなと思っている。

・シーズニング
シーズニングの重要性に改めて気付かされた。特に今回製作したキュリオケースの縦の材は曲がりやすい。十分なシーズニングが必要だ。荒木取り後数ヶ月は必要だろう。

・塗装
水性のニスを用いた。薄くして塗装したつもりだが、塗装だれが見られた。重ね塗りの際に十分な乾燥が行われていなかった証拠だ。

・ダボ接続の精度
ジグを使ってはいるが、どうもピタッと合わない。何が原因か調査の必要がある。

・ガラスの取り扱い
ガラスの取り扱いは、今回が初めてであった。十分注意したつもりだが、最後の最後でネジと干渉しひびが入ってしまった。油断大敵である。


ガラスのひび補修

下の写真のようにガラスにひびを入れてしまった。このひびは左側の取っ手を付ける際に取ってのネジとガラスが干渉したため生じた。





ガラスの補修材をネットで探すと、車のフロントガラスなどを補修するキットが販売されている。早速、注文した。原理は、一種の接着剤で樹脂系であることが分かった。









補修説明書により作業を開始した。基本的にはガラスの傷やひびを樹脂で埋め目立たなくする。説明書によると、樹脂を添加し透明のシートをかぶせる。これは盛り上がった樹脂をシートをかぶせることによって出来るだけ平坦にする効果がある。次に、日光に当てて紫外線と熱により化学反応を促進させて硬化させる。その後、かみそりで盛り上がった部分を削り取り傷の部分だけを樹脂で埋める形にする。

一度やってみたが、この「かみそりで盛り上がった部分を削り取る」と言うのが旨くできない。どうしても削り取るときに埋めなければならない部分も微妙に削り取ってしまって、傷が目立つ。

ならば、かみそりを使わず目の小さい水ペーパーを使ったらと思い、やってみると樹脂とガラスの間に水が進入し、せっかく埋まった樹脂がはがれてしまった。



樹脂にシートをかぶせて硬化後にシートを剥がしてみると、それなりに目立たなくなっているので、へたに削り取るよりも綺麗に見える。最終的には、樹脂添加を再度行い削り取らないことにした。

コツは、「樹脂を如何に傷やひびの部分に旨く流し込むか」である。特にひびの中に旨く浸透させることが重要で、硬化後の仕上がりに差出てくる。ひびの中に浸透させるためには、樹脂添加後、軽くガラスを押して隙間を大きくすることで少しずつ染みこんでいく。結構地道な作業が必要だ。

ガラスを押すときに、押しすぎでひびを拡大させないように細心の注意が必要だ。コツが分かったところでちょうど1ccの樹脂が無くなってしまった。結果は、以下の写真のように、殆ど目立たなくなった。




kyurio69

つづく



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