大型二輪免許取得奮戦記

 

動機

準備するもの

第1段階

第2段階

検定試験

 

動機

若い頃からの夢であった「大型二輪免許(限定解除)」に挑戦することにした。体力的な衰えをひしひしと感じる今日この頃であるが、「椎間板ヘルニア」持ちになったこと、メタボ傾向が顕著になってきて体力的に筋力が落ちている上に体重が増加してきたこと等々、運動能力に種々の老化現象が(当たり前だが)見え始めた。いや、かなり進行していると言った方が正確だ。

「止まっている250kg以上のバイクを起こしたり押したりして8の字を取り回しできるのは、そろそろ限界の年齢に来ているに違いない。否、もはや手遅れかもしれない」という思いが募って、我が家の大蔵省に相談した結果、バイクを買わない(免許を取る意味無いが・・・)ことを条件にOKが出た。

中型二輪免許を持っていることから最低12時間の実技講習と、その後の検定試験で合格すれば、学科試験免除で申請が出来るという。12時間の実技講習でとれるとは思わないが、とりあえず無謀だが自動車学校に入学することにした。

 

準備するもの

ヘルメット、手袋、かかとのある靴が最小限必要な個人装備だ。後は長袖長ズボンを着用すればOKである。

これらの装備は、乗るバイクにより大きく異なる。アメリカン、オンロード、オフロード等々形の異なる装備となるので、将来乗るバイクを想定した購入を勧める。本格的にバイクに乗ろうと思っている人は、安全に関わる道具なので是非お金を掛けて欲しい。しかし良いものは高い。

私は、「バイクを買わない」ことが条件なので、とりあえずDIY店で売っている安いものを購入した。手袋は大工で使う革手袋、靴はブーツ(脱げにくい)、ヘルメットはいわゆるゼット型と言われるおじさんヘルメット。靴は、ギヤチェンジでつま先に傷が付くので、よそ行きの靴はさけた方がよいだろう。

私のようなへたくそはもちろんのこと、ひざとひじのプロテクタは必須だ。どんなに上手い人でも必ず1度や2度転倒することがあるので怪我をしないためにも必要である。

以下の顛末記は個人差があると思うが、これから挑戦してみようと思っている人のために、ポイントに下線を引いておく。参考にされたい。

 

第1段階1時間目

第1段階は5時間である。初回の1時間は、服装(ズボンの裾処理→基本的にヒラヒラしてはいけないので私は作業現場で使っている脚絆を使用した、もちろん長袖長ズボン)、バイクの仕組み、基本操作(キル・スイッチ。メイン・サブスタンド立て→メイン・スタンド立ては前体重を乗せる感じでやれば楽勝、サブスタンドは払方が難しい、格納するときは左足で、出すときは右足で、格納するのは乗る前に(乗ってから格納した方が安定しているのだが・・・)。グリップの握り方→グリップ付け根から指1本分空ける。バックミラーの調整方法→裏側から手を添えて調整する、余った手はグリップを握っておくこと。)、エンジンをかけずに8の字取り回し、バイク起こし(左右両側、自分と反対側に倒れたときサブスタンドをあらかじめ出してから起こす)、運転姿勢(ニーグリップを効かせるためにはつま先を内側に向ける癖を付けること、クラッチ及び前ブレーキレバーの握り方→しっかり4本指で、2本指をかける方法もあるが素人はこのかけ方だと転倒時に挟んで骨折する)であった。

最後に、教習所内外周コース5周回って(教習所内のコースで使用するギヤは1〜3段)終わりである。

教習所のバイクは、重量約250kgのHONDA−CB750である。20年以上前に中型自動二輪の免許を取ったときの微かな記憶によると、400ccのバイクもかなり重かったが、250kgの体感は尋常ではない。

8の字を20分くらいやったがヘトヘトだった。しばらく肩を怒らせて(非力なので)汗だくになりながらやっていたが、バイクが外側に倒れることを恐れて自分側にバイクの重量を支えていることが原因であることが分かった。バイクを倒すことを恐れずにまっすぐ立てる要領をマスターすれば、ビッグ・バイクはかえって安定しているので軽く(といっても重い)取り回せる。

後でハウツー本を立ち読みして分かったことだが、ハンドルを切る方向とバイクが倒れる方向は逆だ。すなわち、外側に倒れそうなときはハンドルを外側に切るとバイクは自然に内側に倒れる。

チャレンジされる方は、バイクを垂直に立てることに神経を使うことを薦める。教官の中に明らかに背の小さい私より非力に見える人がいたが、バイクの取り扱い方を観察していると、常にバイクを垂直にキープしていることが分かる。

例えば、バイクの乗り降りである。身長の大きな人なら左足をつっかえ棒にしてやればバイクが倒れることはない。身長の小さな人は足が短いので(失礼!)つっかえ棒にはならない。したがって、バイクを垂直にキープしつつバイクにすり寄るように乗り降りする。言葉で言うのは簡単だがやってみるとなかなか難しい。結局、私が出来るようになったのは検定試験直前であった。

コースを回ったが、ウインカーは出しっぱなし、ギヤチェンジはめちゃくちゃ、交差点での確認、車線変更時の後方確認はいい加減、全ての動作がちぐはぐで全く話にならなかった。最初はそんなもんだと自分を慰める。それにしても30年以上のブランクは大きいのだ。本当に免許が取れるのだろうか不安になる。

 

第1段階2時間目

2〜3周外周を回ってから、いきなり狭歪路(狭歪路というのかどうか分からないが、バイク1台がやっと通れるくらいの間隔で道の両側にバーが設置されている直線コース)と波状路と1本橋をやった。心の準備が出来ていなかったこともあり、惨澹たる結果であった。5〜6回繰り返したが成功したのは1回しかなかった。おまけにバイクを転倒させてしまって、教官に散々冷やかされてしまった。

転倒するときのコツだが、怪我をしないように倒れる側の足をバイクと地面の間に挟まないようにすることだ。バイクに傷を付けることを気にして足を突っ張ると足を挟む。教習所のバイクはガードが付いてはいるが擦りむいたりするので倒れそうになったらバイクからさっと逃げるに限る。

ちっとも自慢にはならないが、今後、「さっと逃げること」で数限りなく転倒したが一度も怪我はしなかった。

狭歪路ではバーをなぎ倒し、波状路ではフラフラになりコースアウトしたり腰が引けてアクセルを吹かせたり、1本橋では落ちまくってしまった。

帰りにまた本屋によってバイクの操作技術について書いてある書籍を立ち読みした(買わずに立ち読みするところがせこい!?)が、基本中の基本が全く出来ていなかったことが改めて分かった。一応、頭の中に入っているつもりだったが全く実際の動作に出ていない。30年以上もバイクに乗っていないと全て忘れていることもある。泳ぎと一緒で一度身に付いたら忘れていないだろうとタカをくくっていたのだが大きな間違いだった。

例えば、ニーグリップである。頭では分かっていて落ち着いているときはちゃんとできているが、他のことに気が取られパニック状態に陥ると全く忘れている。波状路では立ち乗りをしなければならないが、重心がどうしても後ろに行きがちで、後ろにのけぞるとアクセルを吹かすことになりバイクが暴走する。その結果、バランスを失ってバイクを転倒させてしまう。

急旋回のときは、怖いので体重が残ってしまい旋回する方向にうまく体重移動が出来なかった。おまけにハンドルを操作する腕が突っ張っているので操作がぎこちない。バイクのハンドルは力を入れずに持つことは中型を取ったときに十分注意されたことだがちっとも身に付いていない。上級者はセルフステアといってバイクのバランスのみでハンドルを操作する。そもそもバイクのハンドルはバランスさえ的確にとれれば手で動かさなくても自然に動くものらしい。波状路をクリアするときは立ち乗りだが、立ち乗りのとき重心は前(お尻を前に持っていかないと重心は前に行かない)でニーグリップを効かせる。腕には力を入れずにハンドルに添えるだけなのに、力いっぱい握ってしまっていた。平均台は、昔は得意としていたのに、バイクのバランスがちっとも良くない。ニーグリップが効いていないことと腕に力が入っていること目線が遠くを見ていないため及びスムーズなハンドル操作やクラッチ操作がままならなかったのが原因だ。

今回の練習でも、ひたすら落ち込んで教習所を後にした。とにかくお先真っ暗な状態である。本屋でテックニックを解説した本をもう一度立ち読みして、頭に叩き込んで再チャレンジだ。ラッキーだったのは、バイクを転倒させたときに怪我をしなかったことだ。250kgのバイクの下敷きになるとスリ傷くらいの怪我は免れないが、全く怪我が無かった上に打ち身などの跡も無かった。教官には風呂に入るときに良く体を点検しておくように言われたのだが。プロテクタが絶対に必要だと感じた。

それにしても750ccはトルクが大きいので、走り出せば安定しているし、こけそうになったときにちょっとスロットルを開けるとすぐに立ち直る。もっとも走り出すまでの取り回しなどが大変であるが。まだ乗りだして2時間しか経っていないが、こんな状態ではたして最後までたどり着くのであろうか不安が頭をよぎる。

 

第1段階3時間目

1〜2周外側を回って慣らしをやった後に、昨日やった波状路と平均台を5回繰り返す。腰が引ける癖はまだ完全に直っていない。そのため何度か波状路と平均台からコースアウトする。今日も一度バイクを転倒させる。いわゆる立ちゴケというやつだ。止まったときにバランスがとれていないために、足でバイクを支えきれずに倒れる。

その後はスラロームである。スラロームは7秒以内でクリアしなければならない。そのためには、かなりバイクを傾けてリズミカルに左右にバイクを振りクリアする必要がある。言葉で言うのは簡単だが、バイクを傾けるには勇気がいる。転倒するかもしれないと言う恐怖心に対抗して思いっきりバイクを倒すのである。

恐怖心を取るために教官からは8の字を練習させられた。まず、広めにパイロンを2個置き1速でゆっくり回る。次に2速でかなりのスピードで回る。そのうち教官がパイロンの間隔をだんだん狭めてくる。傾けた側の足が地面に着くくらいにバイクを傾けないとクリアできないので恐怖心との戦いは尋常ではない(おおげさ?!)。バイクを容易に傾けるには、目線も大事だ。遠く(自分が描こうとしている遙か先)を見て8の字のコース取りを見渡せるようになる必要がある。これを練習した後、スラロームに挑戦したが楽勝だった。

ニーグリップがまだまだ出来ていない点と緊張すると余裕が無くなって腕を突っ張る。アクセルが自然に吹けあがって操作の安定性がすこぶる悪い。カーブは目線が大事であることを痛感した。遠くを見てコース取りをするつもりでバイクを傾ければ出来るようになるので目線の置き方に注意しよう。

しつこいが怪我をしないようにニーパッドとエルボーパッドは、腕に自信がある人も是非とも必要だ。

 

第1段階4時間目

オートマティックの練習だ。車でもないのにオートマティックって何だろうと思ったら、スクーターのことである。最近、都会ではスクーターの需要が多いらしい。ビッグスクーターも乗る機会があるということで、この教習が必須となっている。

ビッグスクーターは、CB750が約250kgであるのに対し、約270kgある。その上イスのような座席なので通常のバイクのようにニーグリップが効かない。(ニーグリップが旨くできない人が良く言うぜ!)メイン・スタンドを立てる操作は非常に力がいる。CBのようにメインスタンドに体重を乗せるだけでは車体が持ち上がってくれない。腕の力も少々必要である。

重くて取り回しが難しい上に操作性もニーグリップが効かない分悪い。実際に運転してみるとフラフラして低速での安定性がすこぶる悪い。

一通りスクーターの操作を習った後、いきなりコースを回り始め、クランク、S字カーブを回る。ときどきパイロンを引っかけたが何とか切り抜ける。ビッグスクーターを取り回すコツは、アクセルを出来るだけ調整せずにバランスを取ることだけに集中してコントロールすることだと思う。オートマティックなのでアクセル・コントロールのレスポンスが悪いのが原因だ。倒れてきたのでアクセルを吹かしても1〜2秒ほどレスポンスが遅れるので、立て直すタイミングを既に過ぎていて結果としてパイロンをなぎ倒すことになる。

ビッグスクーターに乗った後は、CBに戻ってクランク、S字カーブの練習だ。スクーターに乗った後なので操作は格段に向上し、安定して切り抜けられる。

クランクやS字カーブの出口で、減速して左を確認する所作を良く忘れるので注意が必要だ。信号待ちや一時停止線でバイクを止めるときは、必ず走行中にギヤをローに戻しておく。このことによって、停止時に常に右足をステップに乗せておくことが出来る。右足をステップに常に置いておくのは基本動作である。

ただ、どうしても右足を地面に着くときがある。例えば、バイクを止めてギヤをローからニュートラルに戻すときなどは、後方確認後、右足を地面に付け左足でギヤチェンジ、左足を着け右足をステップに乗せてフットブレーキを踏むという手順で行う。

停車時は後ろブレーキと前ブレーキ、あるいはどちらかを必ず効かせておくことは言うまでもない。路面にちょっとでも傾斜があると250kgはすぐ動き出して止められなくなる。

発進させるときは、左右の確認、右後ろの確認を常に行う習慣を付ける。交差点を通過するとき行う左右確認は当たり前である。斜線変更時はミラーだけではなく変更先側の後方確認も必要だ。忘れがちなので注意が必要。

 

第1段階5時間目

今日のメインテーマは急制動である。これは、速度を40km/h以上出した上で急制動をかけるのだが、教習所内のコースで40km/h以上はかなりのスピードを出しているような錯覚に陥る。教習者の後ろに付いているランプの中に40km/h以上で転倒するランプが有る。教官はこれをチェックしている。

教習所内で行われるバイクの操作はほとんど10〜30km/hの範囲で行われるため、40km/hの体感速度はかなり高速を出しているように感じるのである。

また、制動をかけたときに車輪がロックして転倒の危険があるため危険度もかなり高い課題だ。

40km/h以上出す操作とそれに比例して転倒のリスクが増大するという相矛盾する操作を、教習生に強いるという点で難しい課題だと思う。

私の場合は、転倒の恐怖心から何回やっても速度が規定の速度に達しない。おまけに、直線に入るまでに十分に加速しておく必要があるのに、直線の前がカーブになっており、急制動前に余裕を持って速度を上げられない。コツは急制動をかける前に十分余裕を持つことだ。そのために早い段階で速度を40km/h以上にあげておくことである。

制動についても、転倒を恐れて思い切りブレーキを踏めない。速度を上げると制動が緩慢となり、速度を上げることと思いっきり制動をかけることが出来なくて悪循環に陥りなかなか成功しなかった。この時間は急制動の練習ばかりしてやっと何とかこなせるようになった。

クラッチを切るタイミングが非常に難しく、早すぎても減点、遅すぎてもエンストと合格点に達しない。

思いっきり速度を出して早めにバイクを安定させることと、リアブレーキを強めに踏むことがコツだ。

特に当日は霧雨だったので制動が規定通りの距離で止まらないことが多かった。

とりあえず何とか1段階はクリアしたが、個人的には不完全なのでもっと練習したいのだが。

 

第2段階1時間目、2時間目

第2段階は7時間ある。2つある検定コースのうち1つを教官と一緒に走る。1〜2回走っただけではとてもじゃないが覚えられない。覚えていないとウインカーや左右確認、交差点確認、後方確認等々やるべきことが出来ずに、あたふたとして全く消化不良。

家でコースを十分覚えてくることにする。それにしてもウインカーを消し忘れることしばしば。私の癖のようだ。

家に帰ってからのイメージトレーニングが大事だ。コースが頭に入っていれば何とか余裕が持てそうだ。1本橋を5回中3回脱輪する。いずれにしてもバイクがふらつくと減点の対象なので安定した操作が必要だ。余裕ある運転には、まだまだほど遠い。

 

第2段階3時間目、4時間目

先日やった1つの検定コースのイメージトレーニングをひたすら繰り返し本日に備えたが、もう一つの検定コースの練習だった。当然、全く覚えていないので、操作があたふたとなって先日と同じ事の繰り返しとなる。(前回の練習の時に別のコースをやると言ってくれればいいのに・・・)

おかげで焦ってしまい今までミスの少なかったS字やクランクにミスが続発した。パイロンはなぎ倒すしバイクは転倒するしで、3時間目はボロボロであった。おまけに、転倒したバイクを起こすときに腰に激痛が走る。やばいかなと思ったが何とか持ちこたえた。

後から教官が「俺もやばいと思った」と言っていた。本当にご老体はやっかいである。

参考のために、大型バイクを起こすコツを図で示す。あくまでもイメージだ。ポイントは2つある。1つは持ち上げる方向である。上ではなくて斜め前方。もう1つは力の掛かる部分だ。手のひらではなくて腕の付け根である。

限定解除をもくろむ(気持ちだけ若い!?)中年の方には是非コツをマスターして腰を痛めないようにして欲しい。

 

 

 

4時間目は、少しずつコースを覚えてきたのでミスが少なくなってきた。苦手としていた波状路や1本橋はまぐれもあってノーミスでクリア。本番でミスが出なければよいが・・・

それにしてもバイクの動きがスムーズではない。原因はローギアの多用である。少しハイギヤ目を選択するとガクガクしないでスムーズにバイクが動く。750ccはトルクが大きいので低速になっても滅多にエンストしないので心配せずにハイギヤにしよう。

どうしてもローギヤを使わなければならないときは、半クラッチをうまく使わなければならない。ベテランならいざ知らず、クラッチとアクセルの微妙なバランス調整は、我々初心者には高等テクニックだ。

 

第2段階5時間目

シミュレーターといってゲームセンターにあるようなバイクのハンドル周りと座席だけが付いていて、その前に大きなスクリーンがある機械だ。スクリーンには公道を走っているようなアニメーションが表示される。はっきりいってチャチ。

レスポンスは本物のバイクと全く違うし、遠心力もかからない。ただ、シミュレーターは仮想の事象(事故)を起こすことが出来るというメリットがある。人が飛び出してきたり、前を走る車が突然止まって追突したり、見通しの悪い曲がり角近くに車が停車していてそれにぶつかったりと色々な危険体験が出来る。発想はまことに良いが、流行の映画のようなCGでないのでリアリティに欠ける。

ちなみに、この講習を受けて船酔になる人がかなりいるそうだ。信じられないが講習の後にゲロを吐くとのこと。

最低時間は残すところ2時間になってしまった。この2時間は検定試験日と良く調整して検定試験の直前に2時間受けられるようにする必要がある。私の場合、検定試験日との関係で暫く間隔があいてしまう。

腰痛が回復するのを待つ期間がとれるのはラッキーだが、試験まで日数があくので検定試験が不安である。

 

第2段階6時間目、7時間目

いよいよラストの2時間となった(私の場合、下手くそなので補習の可能性が大であるが・・・)が、ひたすら家で検定コースを覚えるためのイメージトレーニングに励む。

ここで私の無知を暴露する。方向指示機用のスイッチである。プッシュキャンセル型スイッチというのだそうだ。

教習所でバイクを練習し始めて既に10時間であるが、この時期になるまでプッシュキャンセル型スイッチを知らなかった。私が中型二輪の免許を取ったときは、方向指示機スイッチは左右とセンターポジションの3つの位置があるのみで、プッシュキャンセル機構はなかったのである。

プッシュキャンセル型スイッチは、左右の指示を出したときにスイッチを押すだけでスイッチがセンターポジションに戻る仕組みになっている。左右のポジションからセンターポジションに切り替えるときに、昔の操作のようにセンター側にシフトしようとすると操作がし難い上に、どうかすると反対側の方向指示機位置まで行ってしまって間違った方向指示を出してしまうことがある。

プッシュキャンセル型スイッチは便利な機構だが、昔のような使い方をすると非常に使い難い。知らない方は要注意。

6時間目

教官から「今日は教習で一番楽しい練習だ」といわれた。検定試験のコースをさび付いた頭に差す油もなく、ただただひたすらに繰り返して頭にたたき込んできたのに、コース練習はやらないと聞いてがっくり来る。夢にまで出てきた検定コースであったが・・・

「楽しい練習」とは、教官の後を付いて猛スピードで教習所内のコースを駆け抜けるのである。それに加え、クランクやS字等の狭いコースをローギヤでゆっくり走る。ゆっくり走る練習では、教官がアクセルとクラッチワークで極端にゆっくり走るのでぶつかりそうになる。ブレーキを掛けるとバイクが不安定になって、いわゆる立ちごけになり3回ほど転倒させた。

低速でのコントロールは、基本的にクラッチとアクセルとフットブレーキの微妙な調整だ。そんなものは初心者に出来るわけがない。試験に通るだけの目的なら、アクセル操作を諦め、クラッチとフットブレーキの2つに集中すべきだ。この方法はクランクやS字に有効である。1本橋は直線なので3つの操作が比較的しやすい。この場合アクセル操作を加えても問題ない。

腰を痛めているのでバイクを起こすたびに非常にやばい状態になり、冷や汗ものであった。自分のふがいなさに、またまた落ち込んでしまった。完全にバイクに遊ばれている感じだ。

砂利道(立ち乗りも含む)や急カーブ、Uターンなどやったがここでもバイクはフラフラである。比較する意味で400ccと乗り比べさせられたが、400ccは本当に軽い。(中型免許を取ったときは何て重いんだろうと思ったが・・・)だがトルクが低くすぐにエンストしたりアクセルを吹かせると軽いのですぐに加速して安定性はすこぶる悪い。750ccよりも遙かに乗りにくいのである。走り始めるとビッグ・バイクは安定性がよい。

それにしても、中型と大型の違いがこれほどとは思わなかった。

練習はボロボロだったがビック・バイク特性のまとめになり非常にためになる練習だった。でも決して楽しくはなかったのだ。

 

7時間目

検定試験前日なので2つある検定コースを練習する。教官と伴走しながら細かなアドバイスを受ける。あれだけイメージトレーニングをやって来たのに未だにコースがあやふや。記憶力にも老化現象が忍び寄る。左右確認やウインカーを戻し忘れたりと細かな(?)ミスが多い。果たして検定試験など受けられるのか。

教官からは、「とりあえず受けてみれば!半年あるから気楽にゆっくりね・・・」であった。

 

検定試験

いよいよ検定試験である。久々の緊張感。当日は中型2輪の試験を受ける人が2人、大型2輪の試験を受ける人が3人であった。私は5人のうち一番最後であった。大型2輪の他の2人は、一度検定試験を落ちて2度目だそうだ。どちらも中型を運転していて、本当に上手なのにどうして落ちるのだろうと思ってしまう。

彼らが落ちるのだから、私など、2〜3回は落ちるだろう。でも、検定試験が一番最後なのでコースの覚え直しや、先に乗っている人が失敗しているところとかを十分にチェック、復習、再確認できたのでラッキーであると思うことにした。

2〜3回受ける気で気楽に行こうとばかりに、体操して(腰が痛いので端から見たらおじさんがヨタヨタしているように見えたかも)待つ。それにしても腰が痛い。転倒したらきっと起こせないだろう。

多少の失敗はあったものの他の2人とも最後まで走破した。たぶん合格しているだろう。緊張して自分の番になる。スラロームの手前で、なんとギヤ選択を間違えてエンストしてしまった。「終わった〜!」これで検定中止かと思いきや、継続して最後までいって終了した。

後で教官に聞いたが、エンストは減点の対象にはなるが中止にはならないとのこと。中止になるのは、急制動で所定内の範囲で止まれなかったとき、転倒したとき、1本橋から落ちたとき、パイロンをなぎ倒したときなのだそうだ。

プッシュキャンセル型スイッチの構造をマスターしたおかげで、方向指示器であたふたすることは少なくなった。本当に便利な機構だねー!

検定試験終了後にそれぞれ各人に注意事項を言い渡す。私は、まだバイクがふらふらしていて安定していない、1本橋の時間が短い、スラロームの時間が長い、シフト操作が遅い、であった。

後で分かったことだが、

@急制動で速度が出ていない、あるいは所定の範囲で止まれない

A波状路を逸脱する

B1本橋から落ちる

Cクランク、S字、スラロームのパイロンを倒す

Dカーブで脱輪する

Eバイクを転倒させる、あるいは走行中に不用意に右足を着く(転倒と見なされる)

については非常に減点が大きく検定が途中で中止される。

1本橋の時間が10秒以上にならなくても、スラロームの時間が7秒以下でなくても、減点はされるものの検定中止にはならないのである。エンストも数回はOK。

惨憺たる結果だったので、おそらくもう一度、検定試験だと確信して結果発表に望んだ。結果は何と「合格」であった。信じられない!

老体なのできっと相当オマケしてくれたに違いない。それにしても合格点数70点ぎりぎりだったのだろう。びっくりした顔をしていると後で教官に「とりあえず受かったのだから」と元気づけられる。

結果として所定の最低乗車時間12時間で合格したが、実体はバイク操作の未熟さが露呈した。今後、精進して練習しようと心に誓ったのであるが、バイクは一体どこから手に入れるのだろうか?

当分は颯爽と自然の中を走る姿を想像しながらバーチャルな世界で満足することにしよう。

ちなみに後で同じ日に受験した他の2人に聞いたが、彼らはすでにリッターバイクを購入していて、免許を取ったら早速ツーリングに出かけるそうだ。うらやましい!











                 
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